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[コメント] ディア・エヴァン・ハンセン(2021/米)

話がどう転がっていくのか全く読めない設定は秀逸で、作劇されたというより、登場人物の言動に自然に導かれたかのような展開に目が離せなくなる。そして、エイミー・アダムスジュリアン・ムーアのガチ母性愛対決は最大の見せ場。
緑雨

パンパンに膨らんだ自意識の重みに押し潰れそうになるティーンエイジ特有の絶望が、ミュージカルという手法を通じて心に響く。

かなりキツいものを描いているはずだが、どこか素朴な学校や家庭の風景が痛切さを和らげているような。エヴァン役ベン・プラットの、いかにも冴えないが善良さが滲み出る容姿も効いてくる(岡村隆史に似てるなと思い始めたらそうとしか見えなくなってしまったが)。

現実の苛烈さに比べるとやや甘く感じられるラストに向かうプロットの収め方も、優しい余韻を与えてくれるものとして肯定したい。

(評価:★4)

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