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[コメント] アカシアの道(2000/日)

老いてゆく厳格な親が、子供じみた優しさと引き換えに利発さを奪われてゆくということ。これは何よりも悲しいし恐ろしい。まして、現実には他人はけして助けてはくれない。だから…。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分があの立場に立つとしたら、やはり母親の首を絞めてしまうような気がする。自分が男だからかもしれないけれど、母親の顔をした子供を眺めて暮らすのは耐えられない。脳死=死だと信じている自分だからこそだ。あの青年の登場はやはり御都合主義であり、現実にはそんな救いはもたらされることはない。

男のせいにするのは男性全てへの侮辱なのかもしれない。だが、子供を持つ資格はないと自分を見ている自分は、やはり痴呆の親とつきあってはゆけないだろう。改めて自分の懐の浅さを痛感する。

子供になった母親と手を繋いで、微笑みながら歩いてゆく主人公。やはり彼女は虚構にしか見えないのだ。『恍惚の人』レベルまでは行っていないからできるのだとしか見えない自分は、主人公の元カレと同じ、また父親と同じ高みまでしか立つことはできない。

(評価:★3)

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