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[コメント] リトル・ボーイ 小さなボクと戦争(2016/メキシコ=米)

大人と子供とのあいだに生まれる「友情」は、どちらかがどちらかにすり寄るという構造を内包する必要はない。対等な友情は所詮欺瞞であり偽善であるからだ。ここからもタガワが大人としての矜持を捨てなかった事実は評価すべきだが、それを言い出せば司祭ウィルキンソンの定めたルールがそもそも欺瞞なのだ。子供に正解を見出す安易なゴールを与えなかった作劇のみを評価したい。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







正当な教育を受けた日本人であれば、この作品における原爆リトルボーイの扱いにこそ大きな欺瞞性を感じ取るのは容易なことだろう。「西海岸のジャイアン」が君臨する児童社会の構造がそのまま大人にも敷衍されてしまう、ムラ社会の幼稚な構造を見るかぎり、この映画が描くのは発育不全なオトナ社会の寓話なのだ。リトルボーイとはじつはこの合衆国の縮図を指すのだ、と確信犯的にあばくという意義をこめてこの作品が作られたとみていいのだろうか。評価はそこで分かれることになるだろう。

(評価:★3)

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