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[コメント] ローマの教室で 〜我らの佳き日々〜(2012/伊)

オトナというものも一個の動物であることを認識した上での愚かさ、そして愛すべき属性が白日のもとにあばかれる。もちろん教師もまた例外ではない。懸命に職務に励んだからといってそれが報われる保証はないし、だからといって理解を拒むアクションに徹したからといって拒絶されるばかりとも限らない。これを真正面から描く、オトナであることを悲観するオトナの映画だ。
水那岐

撮り方はコミカルですらあるが、喜劇ではなく正攻法の真面目なフィルムとなっている。高校生ともなれば教師の権威など洟もひっかけない奴ら揃いであり、真面目に彼らに接していく熱血教師もいれば、すでに絶望の果てに自らの殻に閉じこもるシラケ教師もいる。そうした彼らの行動への回答もうまくゆくもの、ゆかぬものいろいろだ。そうだろう、教師が聖職だというものもあるがこれも仕事のひとつにすぎないのだ。ピッチョーニはこれを温かい目で受け止め、そして描く。なんとも素直で衒いのない撮り方で、笑わされたあげくほろ苦い後味も少々残るドラマだった。

付記。『カウボーイビバップ』だの『らんま1/2』だののタイトルが生徒の口の端に上るのは理解できるが、日本のエロ漫画までが彼の地で簡単に入手できるのは今さらながら意外だった。ああいうのは日陰の文化かと思っていたが、エロは世界の共通語だったのだなあ。

(評価:★5)

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