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[コメント] HIGHLANDER ハイランダー ―ディレクターズカット版―(2008/米)

デヴィッド・アブラモウィッツの脚本は、反吐が出そうなハリウッドC級アクションムービーの継承物だ。そこに川尻善昭の、80年代アニメの愛好者には堪らない肉体描写の華麗さと、今現在の人気アニメには見られないクドい濃厚な陰影を見るとき、『ハイランダー』の何たるかなぞ吹き飛んでしまう。アメリカの尻の青いカウボーイに、川尻監督ほどの至宝を好きにさせている日本アニメ界こそ糾弾すべきものだ。
水那岐

はっきりと言う。宮崎駿らがナチュラルな自然の色彩を選び取ったかわりに、ヴィヴィッドな色の蠢く日本特有の毒に満ちた、いかがわしい陰影の浮遊を棄てたとき、日本の大衆のための、そして世界のヲタクたちが垂涎したこの地球に類を見ない「アニメ」は死に絶えたと。かくして、硬直した頭の美しい日本のワタシを標榜する馬鹿者どもを見捨て、川尻善昭はアメリカ向けオンリーのアニメ監督と化す。

これほど勿体ないことはそうはないぜ。ファーストフードばっかり食べてりゃそりゃ病気になるだろう。でもいまやハンバーガー屋だって食通を唸らせる味を作り出す、素晴らしい腕を手にする時代なんだよ。それが日本のアニメだ。それが俺の妄言でないことは、日本製アニメが諸外国でこの数十年間、どれだけ見られているかを調べれば判る。ウォルト・ディズニーの亡霊が君臨していた玉座は、すでに王様が一糸纏わず、それどころか極東の属国の王から奪い取った衣で隠しどころのみ覆っている、そんな事実が判明した時点で崩れ落ちた。そこには今や日本王の玉座がしつらえてあるのに、誰も遠慮して座ろうとはしない。

急ぐんだ、日本のクリエイターたちよ。あそこに宮崎が座ったら日本のアニメーションは雪崩落とし状態になっちまう。毒と血しぶきと愛液に塗れた、親の目を盗んでこっそりとガキが大人の世界を垣間見る、ワクワク感を満たしてくれるポイズン・フィルムは駆逐されちまう。

日本のアニメが大好きな少女誘拐殺人犯が、またもや今日逮捕されたらしい。なるほど、自慰史観を掲げる爺どもにとっては、それは大きな関連性なのだろうな。醜い日本に産声を上げ、歪んだ情報に道を誤らされた若者が、すがる雑草はアニメだといいたいのだな。事ほど左様に偏見は面白い。実際、川尻を代表とする俗悪アニメクリエイターが、続々日本を去ったほうが面白いのかもな。日本が嘲笑われれば、少しは日本も変わるだろう。

そんな日を夢見る俺は、性格破綻者そのものであるのでした。

(評価:★4)

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