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[コメント] 劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜(2009/日)

菅野よう子」のミュージック・クリップとしての期待しか持たなかった自分には、予期せぬスタッフの頑張りに瞠目させられる場面が多々あったのだが、如何せんこの頑張りは無謀であり、ストーリーはTV版に馴染んだ自分にさえ首を捻る箇所があちこちに見い出された。
水那岐

確かに、殆どのカットを新作に描き換え、なおかつ物語を一から再構成したガッツには無条件の拍手を送りたい。ストーリーも一見さんお断りの看板を敢えて掲げず、総ての客層に理解できる作品を目指した河森正治監督にも敬服する。

しかし、その努力は皮肉な結果を生む。TV版の視聴者にすらついてゆけぬものを感じさせるドラマのうねりと混沌ゆえである。誰が主人公であるか判らない演出の混乱。もう既に見えている黒幕の判りやすさと、その行動の意味不明さ。歌のありようの設定の混乱。それゆえに、むしろ『超時空要塞マクロス』の単純明快さこそが求められているとは考えられなかったのだろうか。今風の「萌えキャラとツンデレ」を中心に据えればいいというものではあるまい。意余って力足らず、というのが正直な感想であった。

菅野の「ゴールデン器用」ぶりは充分に堪能できた。しかし、シェリルの歌声を担当するMay'nの巧さを知る者にとっては、パンチの効いたニューナンバーこそが望まれたところ。物語のクライマックスにいま数曲の新曲を用意できなかったのは惜しい。確かにTV版の一段上を行く新しい曲たちの映画ならではのライヴ表現は嬉しくはあったのだが。

(評価:★3)

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