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[コメント] 美代子阿佐ヶ谷気分(2009/日)

エロスを感じさせない一つの容器としての女体。町田マリーはそのような得体の知れない存在として見えてくる。漫画家の苦悩は深いが、それを丸のまま呑み込んでしまうような巨大な容器として。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







漫画家のミューズであり、愛人でもある美代子を追う物語と思っていたが、漫画家自身の生活の変貌をもこのドラマは描くものであった。彼は阿佐ヶ谷で私漫画とシュールレアリスムに傾倒するが、その時の追い詰められての美代子の友人とのセックス、そして友人への美代子を抱けとの命令が、逆に漫画家をのっぴきならない精神状態へと追い込んでゆく。その後、彼は狂気に蝕まれてゆくが、そんな彼を美代子はそのまますっぽりと包んでいるように見える。

美代子の裸体は彼の漫画に描かれた彼女のように乾いており、エロティシズムを感じさせない。もとより彼女は主人公の宿る子宮であり、その中で安心の溜息をつくべき場所であったからかもしれない。

(評価:★4)

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