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[コメント] きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏(2005/米)

一見、犬のお話かと誤解してしまうのだが、これは「犬に引っ張られた少女がさまざまな人々に出会い、彼女なりに傷ついた町を癒すべく奮闘する話」である。生硬なセリフもあるものの、子供の視点からでもちゃんと判る「人と人との繋がり」を語ることばは、なかなか含蓄が深いものがある。アナソフィア・ロブは期待株。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







昔アル中だった盲目のグロリア、つまらぬ罪で前科者になったことを今も噂されるペットショップのオティスなど、このナオミ町には寂しく傷ついた人々が溢れていることに主人公オパールは気づく。自分の父親すら、牧師夫人として特別に見られることを嫌って去っていった妻のことで傷を負っている。

その中にあって、オパールは頼もしい仲間であるウィン・ディキシーさえいれば無敵になれる。彼は人好きで、オパールを嗅ぎつけたかのように寂しい人のもとへいざない、その仲を取り持ってくれる。

お話は子供向けにやさしく描かれてはいるが、「悲しみの味」がするリトマス・キャンディに象徴される社会の寓意は深いものがある。寂しい人たちがパーティで悲しみや喜びを分かち合う結末が甘きに過ぎるという向きもあろうが、子供が他者の悲しみに目を向けるきっかけとなるのならば、それでいいのだ。オトナたちが恥ずかしくてできないことを、彼女らはちゃんとやってのけてくれるのだから。

チャーリーとチョコレート工場』では意地悪娘を演じたアナソフィア・ロブはなかなかの演技派で、愛らしい外観に甘えていない。可愛らしい愛の伝道師…なんてせせこましいワク内には決しておさまらない元気少女をここでは体当たり演技で演じてくれた。

(評価:★4)

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