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[コメント] 恋の門(2004/日)

七光りのシラケ役者だった松田龍平の頑張りが今回は明らかに見てとれる。しかし、オタク描写の奇異な演出は松尾スズキの作為か、リアルさを求めているのかが容易に判断できない。
水那岐

おそらくこれは現在のオタク事情から自分が身をひいているからかもしれないが、この映画に出てくる漫画周辺の人々が自分には奇異に見えてしまう。細かいところはその通りなのかも知れないが(20年来のコスプレイヤーが未だにイデオンのコスプレをしているとか、アニメ界の「奇公子」が温泉ツアーでファンたちを湧かせるとか)、漫画への執筆欲と燃え上がるリビドーが果たして両立し得るものなのか、というあたりのことだ。執筆欲ってのは普通リビドーが昇華されるところに出現するものではあるまいか?

松田演じる芸術家のように、古風に石のオブジェを並べ続けるとか、松尾(彼も言うまでもなく熱演だった)のように何年も筆を折っていたならともかく、酒井若菜のように会社と同人誌活動を両立させている多忙な描き手が、セックスに狂うようにのめりこむ余剰エナジーがあるあたりが疑問なのだ。少なくとも自分にはできないので、自分の漫画に好みの女を描いてそのあたりの欲望を転化しているのだが。

そんなわけで、イマイチ昔は馴染んだ世界にのめりこめない自分がいた。新劇臭いセリフがやたらと鼻についたせいもあるのだが…。それでも各人の熱演は認めざるを得ないので3点。映画の上ではそれらが互いに相殺しあっている、といった印象があったにせよ。

(評価:★3)

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