ガンダムが洗濯物を干したり、ミサイルポッドで牛を運んだりといったこの作品ならではの「名場面」（決して「迷」ではない）は採用されなかったものの、これは仕方ないのだろう。TVのゆったりとした場面運びの中でこそ映えるシーンだ。戦闘シーンがTV放映時より比重が重くなっているのも、ひとつの映画の中でのまとまりを考えれば仕様のなかったことと思える。

問題はむしろゲストキャラだ。ギャバン、テティス、キャンサーといったキャラの登退場が唐突に見え、いささかうるさい印象を残した。だが、それらに較べればだが、お伽話的語りの核となっているキエルとディアナの入れ替わりはそれなりに時間を与えられており、そのための各場面の犠牲と考えれば止むを得なかったと見える（むしろあれ以上時間を割いたなら著しくリアリティを欠くだろう）。

ただし、これも一作品としては視聴者の同窓会フィルムとのそしりを免れ得るものではなかったのが残念なところ。