[コメント] ギャング・オブ・ニューヨーク(2002/米=独=伊=英=オランダ)
派手なCGのない『ロード・オブ・ザ・リング』、みたいな映画ですね。
とりあえずこれ復讐モノじゃなかったのね。なんつうかこう、誰が正しいとか誰が勝ったとか誰が喜んだとか、そういう話じゃないってのはわかんのよ。誰を描いたとか何を伝えたとか、そうはっきりズバっっていう話じゃないらしいのね、どうやら。
『タクシードライバー』みたいに、ここでデ・ニーロがこうなったから、そんとき彼はこう思って、その結果次にこうして、結局ああなってみたいな、一つ一つのエピソードを記号的にどんな使い方なのか理解しやすいタイプじゃないっぽい。ちょっと引いた視線でたくさんのエピソードを包括的に(とでも言うのかな?)、こう漠然と伝える方式みたいな。一つ一つに「ここはこういうことが言いたいんだな」ってかっきりかっきり理解しなくても、全てのエピソードを見終わったら自然となんとなく伝わっている、みたいな。
だからさ、そういうタイプの場合は一つ一つのエピソードのリアリティ、説得力というものがないと意味がないですよ。そりゃそうでしょ、記号としてじゃなくてありのまま漠然と感じ取るんだから、それに耐えうる繊細な描写じゃなきゃ意味がない。ところがどっこい本作の場合、繊細さもリアリティも魅力もない、単なる記号でしかないんですよ。
記号的な置き方をされていないたくさんのエピソード、それら一つ一つの作りが記号的という、おかしな話です。記号的に使用されていない記号、その答えは・・・何の意味もない。
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