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[コメント] 殺人論文 次に私が殺される(1996/スペイン)

DVDは改題されて出ていますね。(笑) アメナバールは23歳でこの映画を撮ったのは脅威。その後の躍進も納得。
Keita

**ネタバレ注意**
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 『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』で今ではすっかり有名になったアレハンドロ・アメナバール。ここでのコメントは彼が注目される以前のものが多いですが、自分は上記の2作から興味を持って見た口です。ちなみに、評判の悪い邦題は、『テシス 次に私が殺される』と変更されてDVDが出ています。劇場公開時から改題されると、シネスケで検索する時やレンタルショップで商品探す際に結構困りますが、これは改題して良かったでしょう。

 内容は今となってみると、「あぁ、アメナバールっぽいなぁ。」と感じてしまいました。やはり後の作品と比べると脚本に発展途上な部分が少なからずあったとは思うが、23歳でこれを撮ったと思うと本当に脅威。演出はこの時点でもレベルが高いし、サスペンス映画の撮り方を完全に心得ている。もちろんアメナバール担当の音楽にしてもかなり映画を盛り上げている。『エクソシスト』の音楽と似ていて恐怖の雰囲気が出ていた。

 2時間ちょっとの上映時間を緊迫感ありに見せきるので素直に楽しめます。犯人探しにしても、最後まで誰だかはっきりしないし、ダミーの要素が散りばめられまくっているので、かなり迷わさせられた。先述したが、演出と音楽が見事なのでかなり見入ってしまう。カメラワークも巧いし、音楽の入れ方のタイミングも絶妙。自然とハラハラさせられてしまう。

 アメナバールらしく、ただの犯人探しのサスペンス映画でも終わらず深みがあります。ラストシーンのテレビ放送を見ると複雑な心境がする。キャスターの口から暴力の影響は良くないといった発言が聞かれるが、それに矛盾して直後に暴力映像を独占公開するのだから。それを夢中に眺める病院の患者達。この映画は暴力描写を過激にしようと思えば、いくらでも出来たのだろうが、それを敢えてやらなかった理由がこのラストにある。確かに、暴力表現の露出によって悪影響に結びつくこともある。だから見なきゃいい、露出しなきゃいいとは思わないのだが、要は見る人の分別が一番重要だと思う。

(評価:★4)

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