ソダーバーグ向きの題材で、非常に彼の監督作らしい出来だ。フリーズさせた映像など、映像は彼のセンスが良く表れてます。中盤のジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペスのラブシーンなんて、魅せ方が巧すぎます。夜景をバックに、落ちついた雰囲気のバーで、前後のシーンを絡めながらシーンを展開させ、キスシーンの直前には映像をフリーズ。台詞もクールだし（"一時停止"って発想が良いのです）、あのラブシーンはかなり素敵な仕上がりでお気に入りです。また、時間軸を交錯させるのはソダーバーグのお家芸ですね。始まってすぐ2年後になったと思ったら、後で2年前に戻して、現在と2年前を同時に進行させる。巧い手法です。

　内容も面白いです。冒頭の強盗シーンでそのユーモアに心を掴まれました。全体を通して結構笑った場面は多かったです。ビング・レイムズやドン・チードルといった黒人俳優たちがかなりはまってました。ジェニファー・ロペスも自分はあまり好きな女優ではないが、役柄には合ってたと思う。セクシーかつ強そうな女性っていったところが。ジョージ・クルーニーはこの映画では異様にかっこいい。クールな中にユーモアありのセクシーさありの、かなり格好良い。脚本が良いだけに、台詞の一言一言にセンスを感じた。上に書いたバーのラブシーンもそうだけど、トランクの中のシーンやら、その他のコメディっぽいシーンまでこの映画は台詞回しが非常に面白い。

　あと、オチがかなり面白い。原作ではカレンがジャックを逮捕した場面（"一時停止"は終わりだっていう台詞がお気に入りです）で終わるようだが、製作者側は希望を持たせたかったとラストシーンを追加。これが大正解です。この映画のテンションを考えると原作通りのラストより追加したらストの方が気分が良いです。要はカレンの配慮でジャックが再度脱獄を試みるだろうという推測なんだろうけど、直接的には見せずに間接的に見せるところが巧い。ジャックとカレン同様、見ているこちらもニヤリとしてしまいました。