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[コメント] Death Note デスノート 前編(2006/日)

CGのリュークの出来に代表されるよう、原作の雰囲気は損なわずも、漫画とは違う方向で娯楽映画として高められている。クライマックスの緊迫感は特に見事。(2007.04.01.)
Keita

**ネタバレ注意**
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原作漫画とは方向性を変えたのが吉と出ている。冒頭のワーナーブラザーズロゴにも違和感を感じないような、ハリウッド製サスペンス映画のようだ。

僕は原作漫画を細かい部分まで追求はせず、単純に娯楽だと思って読んでいた。月とLという魅力的なキャラクター造形、小畑健による美しい作画、これらが作る雰囲気。ミステリーとしての細かい部分を見るよりも、キャラクターやイラストの力に引っ張られた雰囲気を楽しむ方が、この原作漫画には向いているような気がする。

この映画にしても、漫画のように、キャラクターや映像による雰囲気で引っ張っている。特に月を演じた藤原竜也の熱演は、キャラクター像を明確なものにしていて、見ていて感心してしまうほど。安易な感情移入で共感を呼ぶキャラとは全然違う、恐ろしさを感じさせてくれたのが見事だった。

特に良かったのは原作とは違う展開を見せたラストシーンで、上で述べたような月の人間離れした恐ろしさを際立たせてくれるものだった。そこまで冷酷になれるのか、と思わせたことにより、続編への期待も高まる。

また、このラストシーンを盛り上げるために映画が構成されていたのもポイントだと思う。原作漫画の方が、レイ・ペンバー(映画版ではレイ・イワマツ)に関するバスジャックや電車での殺害劇は圧倒的に面白い。それはエピソードがすごく紙媒体向きで、文字を中心に考えられているからだろう。やはり映像ではそこまでは持っていけない。だが、それを逆手に取り、ラストは映像らしい盛り上げ方をしてきた。どういう方法が映画向きで、それをどこに持ってくるか、そのあたりがしっかり考えられている。

原作のコピーではなく、適材適所な変更によって、原作のテイストに通じるサスペンス映画に仕上げてきた。後編もぜひ観てみたいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ダリア[*]

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