そもそも根津甚八が何を考えているのか見えてこない。そのクセ格好よくもない。この人の色気には効く相手と効かない相手がいて、少なくとも僕には効かないんですよ。だからボーッとしてるウチに言い寄ってきた女食って、友達裏切って、シャブ中になってっていう事実しか見えてこない。これじゃあただのボンクラです。それで「青春群像」みたいなことやられても共感のしようもないです。勝手に破綻しててください。

　大体成田三樹夫の陰謀の片棒担がされて、そのまま良いように捨てられるって主人公としてどうよ。以前の主人公たちなら、その秘密をネタに三樹夫ユスるくらいのことはしたぞ。それもできずにウロウロしてるからボンクラだというんです。

　三樹夫は過去最大級の悪い幹部をキッチリ演じ、松方弘樹、小池朝雄、山城新伍、山崎努、そして金子信雄と良いキャストも揃ってる。結局主人公である若者達に全く魅力がないんですよね。タダの青春ドラマなら良かったかもしれないけど、『仁義なき戦い』の名を冠する以上、ダメならダメなりに“格好よいダメ男”を描いてください。