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[コメント] ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲(1987/日)

冒頭の中山美穂の処理のされ方から、相変わらずその場しのぎの脚本しかできていないことは既にわかる。でもそんなことはこの際小さなことで、問題は悪役の魅力の無さにあるのです。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 やっぱりねぇ、無職軍団っていうのはどうにも燃えづらいですよ。過去の作品の悪役たちは皆、「戸塚水産」とか「城東工業」とか学校の看板背負ってたわけじゃないですか。そのそれぞれの学校に「悪の吹き溜まり」とか「不良の数が多い」とかのイメージが被さってくるわけで、我々はその黒いイメージに燃えてたんですよ。それはちょうど暴走族の話をして興奮するのと同じでして、やっぱりそこにはチームカラーというか、集団各々が持つイメージがかなり大きく作用しているんです。

 更にそれに対峙する愛徳コンビに感情移入することで、観客は擬似的に学校同士の抗争を体験できるわけです。やっぱりヤンキーの醍醐味っていうのは「○○高の奴らにやられた!」とか「△△高にすげぇ奴がいるらしい」とか「××高の□□の家はヤクザらしい」とか、そういう「何でか知らんが学校単位で抗争する」ってところにあると思うので、そこが無職軍団になってしまうとどうにも焦点が定まらない。実際極悪高校のトップヤンキ―なんて滅多に見る機会ないですが、無職の人ならその辺にゴロゴロしてますしね。僕さっきも見ました。

 だからリョウが実際にどれだけ強かろうと、その強さはリョウ個人のイメージにしか影響を与えないんですよ。それ以上のバックボーンとかを感じさせてくれないんです。そしてそこを凌駕して強いインパクトを与えるだけのキャラクターがリョウにはなかった。もちろん他の連中なんて誰が誰だかもわかりゃしない程度で、とにかく地味な悪役だなぁという印象ばかりが残りました。

 悪役の登場自体も遅かったし、抗争の理由もどうでもいいようなことでしたしね。あ、そういえば格好いい啖呵も出てこなかった。要はホントに普通の街のあんちゃんの喧嘩みたいだったってことです。3作目になっていよいよ賞味期限が切れてきたんですかね。

 あと例によって那須真知子、ラストで車がスクラップになるシーンで、トオルとヒロシが何であのレバーを倒したのか全く意味がわかりません。二人で力を合わせてレバーを倒したくせに、車の中の翔子が死にそうになったら驚いて慌てるって、じゃあお前らは何がしたかったんだと。もう勢いだけで脚本書くの止めてください。

(評価:★2)

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