退職後、旅に出るはいいがいろんなものを無くしてしまったシュミット。娘の結婚式までの部分はシュミットの孤独を浮き彫りにさせてしまう痛いことばかりだ。結婚式で不本意ながら祝福してしまったり、旅先で知り合った夫婦の奥さんにこっぴどくフラれたり…だがその後帰宅し、タンザニアの少年ンドゥグから届いた絵を見た途端、堰を切ったように泣き出してしまう。

このラストシーンまでシュミットが泣き出すシーンは無い。というか感情を乱すシーンもあまりない。だが、地球の裏側にいる少年が知らないうちに自らの身を案じてくれていた事実。それを知ってシュミットは泣いた。人間はひとりじゃない。ありふれた言葉だが、それをここまで簡潔に示してくれた映画もあまり無いと思う。素晴らしい映画。