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[コメント] ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男(2005/仏=米)

最初は『スカーフェイス』のような、破滅に突き進んでいくような物語だと思って見ていたのに…
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







見れば見るほど、自分の正義の心みたいなものが疼き、主人公に対する嫌悪感が募っていった。 「俺たちには関係ない」 そう嘯くユーリーに、“お前のせいでと何人もの罪のない人が!!!”と何度怒りを覚えたことか。

だから少ない見せ場で好演を見せるイーサン・ホークにユーリーが捕まったときは、素直にうれしかった。こいつにもとうとう破滅のときが訪れたか、と。

しかしラスト直前で突きつけられた、「絶対悪」=「必要悪」という、構図。

あ、そうだったのか、と。ニコル監督の真意に、恥ずかしながらその時になって初めて気づいた。

そもそも、こういった役柄を与えられたいつものニコラス・ケイジなら、「苦悩しながら悪に身を染めていく様」みたいな人物像を演じてくれるのかとばかり思い込んでいたから、話が進むにつれて、多少躓きながらも、自分の行いに対し開き直っていく姿を見て“アレ、今回のニコラスはどうしちゃったんだろう?”などと勝手に思っていた。

釈放されてから、中東の何処からしきところに「傘」を売りに行くユーリー、そしてラストのモノローグ。

そうか、自分が「必要悪」として世界情勢のパーツの中に組み込まれてしまったことに何時からか気付き、達観した顔で武器を売ることができるようになっていたのか。「自分は歯車に過ぎない」と。

でも最後に見えた表情からは、それゆえに家族を失ってしまった者の寂しさ、人間性も感じ取れた。 やっぱり顔で語れる良い役者だね、ニコラス。

(評価:★4)

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