[コメント] まぼろし(2001/仏)
蟻(レビューはラストに言及)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
夫が木を持ち上げたときに見た蟻の群れ。表面には現れない何らかのいびつさや違和感が、作品全体に広がっていく。この不気味な冒頭が尾を引き、最後まで緊張感が途切れなかった。
ラストの海辺のシーン。作品内の緊張が、臨界点を超えて溢れ出す。あれは現実のシーンなのか、彼女の主観なのか、冒頭の蟻の群れのごとく作品全体のいびつな心象風景を具象化したものなのか、もはや何も定かではない。表面上は静かでありながら、そこで描かれているのは混沌だ。
海が彼女から全てを奪った。にもかかわらず、画面の右側で海は穏やかに波音をたたえている。他の作品でもそうだったが、フランソワ・オゾンが描く海には鳥肌の立つ思いがする。
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