[コメント] 1.0 【ワン・ポイント・オー】(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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しかし、バージョン「1.0」だったら、それは「実験」と言わないのでは? というのが、この映画のなんだか頭の悪そうなところだけれど、「1.0」以降の永遠に完成しないバージョンを絶えずアップし続けなければいけない、という風に解釈すれば、ウェブ・ブラウザからなにから毎日のように「重要な更新」を要求されるインターネット的日常の隠喩を読み込めないこともなきにしもあらずか(あくまで「なきにしも」)。
デヴィッド・クローネンバーグっぽい、人間がなにか向こう側へ「変容」して行ってしまうお話なのかと思ったが(気だるいけどさっさと脱ぐ、みたいなデボラ・カーラ・アンガーは『クラッシュ』のときと変わらないし)、本筋そのものは案外わかりやすい企業陰謀もので、実験の「失敗」というかたちで物語はその手前終わる。むしろ実験が「成功」したあとのディストピア(ユートピア?)のほうが気になるところ。みんなが嬉々とバカ高い牛乳やらなにやらをカゴに積んでレジに並ぶなんていう日々が、経済として継続できるとも思えないので、「家賃は払え」「年金も払え」「子どもに小遣いをあげろ」「たまには貯蓄しろ」と色んな命令をバージョンごとに追加して行って、気がつけば今までとあんまり変わらない(笑)、という話だったら、まったく救いがなくて面白かったかも。
謎といえば、日本版予告編で、「誰が、何のために?」と深刻ぶった煽りのナレーションを被せながらあの「ネイチャー・フレッシュ・ミルク♪」のシーンを堂々と流してしまうという、配給アルバトロスさんの考えることも、いつものこととはいえ、難しすぎて私にはよくわかりません。
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