あの恋人を殺人予告の脅しを無視してまで拘束した意味が結局何処にも感じられなかったり、射撃の達人相手に強気の尾行をしたり、たいした策も無く同種の銃で挑んだりする、警察のアホっぷりにはちょっと納得しがたいものがある。

しかし、そういう警察の挑発的態度とかを考えても、レスリー・チャンが殺人に走る姿を単なるサイコ野郎と割り切れていない姿勢はなんだかハッキリせず気持ち悪い。演技は良かったと思うし、銃の魔力的な魅力という着目点も良いと思うのだけど、銃を何年も扱っていながら殺人鬼になった後に「銃は人を殺すために発明された」などと自己弁解する所などを見ても、抑えられない衝動と戦っている人間ではなく、自分の腕を良い事に暴れまわる悪党にしか見えない。それも哀れと言えば哀れだけれども、同情すべき者ではないのは確かだろう。