[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)
誰でも無垢な子供、特にアナに惹かれる。無垢で情緒に彩られた作品ながら、その悲しさはスペイン内線と軍事政権下のスペイン人の傷。
この映画に表現される、大抵の日本人が残念ながら見落としてしまう近現代スペイン史との関わりは、「スペイン映画史 乾英一郎 芳賀書店」に詳しいが、軍事政権下で、スペイン内線の傷を「おとぎ話」としてビクトル・エリセが描いたのは間違いない。無垢にも嘘を信じさせられて、精霊というありもしないものに希望を見いだし、傷つく。
この映画がスペイン史と関係なく日本人に広く受け入れられているのは、間違いなく子供の無垢の描き方のすばらしさであり(、アナの演技のすばらしさであり)、その普遍性はキアロスタミ以降のイラン映画ブームなどにも現れているのではなかろうか。
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