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[コメント] タッチ(2005/日)

そもそもタッチの完全映画化が不可能なことはハナから分かっていたわけで、その点には何の失望もないのだが、野球の描き方がなってないのにはがっかりした。新田との対決シーンなんか『ガッツジュン』のリメイクじゃないかと思うほどの古めかしさだ。
ナム太郎

昭和46年、あの『柔道一直線』の後番組として放映された『ガッツジュン』は、主人公の沢村純が全然甲子園とは思えない球場で、特撮バリバリの魔球を操って大活躍をするという、私達野球小僧を熱狂させた伝説の野球ドラマなのだが、今回のこの映画における野球シーンの演出は、まずこのドラマのことを思い起こさせるほどの古めかしさで、まずは野球ファンとして、そして映画ファンとしても、その見せ方の進歩のなさにガッカリしてしまった。

あと、これもどうでもいい人にはどうでもいいことなのかもしれないけれど、野球ファンにとっては神宮球場もいわゆる聖地なわけで、それを外側だけ見せておいて内側は全くの別物というのはどうなのか? 例えば甲子園はちゃんと本物を見せていたじゃない? それはやはり甲子園でなきゃだめだからでしょ? なのに神宮はいいの? と、こちらも単純に怒りの感情がこみ上げてしまった。

と、ここまで書いて思った。そうなのだ。この映画に決定的に欠けているもの。それは野球への愛だ。野球への愛があればこんな野球の描き方はしない、いや、できないはずだ。

さらに加えて言うならば、端役の人達への愛情、これも決定的に欠けている。安藤希若槻千夏の、あの意味不明の、そして可哀想な使われ方は何なんだ? このあたりは、特別彼女たちのファンじゃなくても疑問を抱くところだと思う。

そういう意味で、この映画に注がれていたのは、南ちゃん、ていうか長澤まさみへの愛情だけだったと言えるし、もちろん彼女に関しては何の文句もないのだけれど、それならそれでもっと完成度の高い作品を作ってあげることこそが彼女への愛情の証になったんじゃないかと思うし、そのためのプロットだけでない演出上のもうひと工夫、ふた工夫が欲しかったなと真に思ったことだった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゆーこ and One thing[*] Yasu[*]

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