その川島（兄役）のことを妹は「松田優作に似てるけど身長は３０センチ。それだけ怖いって事よ」と。「な、なんだそれはー！」とこっちは期待してしまうではないか。川島は松田優作には似てると思わないが、ボクサーとしてはマスクも良く、理論派でディフェンスの華麗さは素晴らしかった。決して前へ前へのファイタータイプではなく、少なくとも本作のような荒々しいチンピラっぽい役は相応しくないと思う。

あと、原田と柏原の絡みは良かった。所々、ドリフかよみたいな可笑しさもあって。アクの強い演技をする出演陣の中にあって柏原のニュートラルさが緩衝材となり、スリやらアル中やらの考えてみれば結構ひでぇ話も心地よく観れた。 女優陣の演技には若干力みが伺え、終盤の吹雪ジュンの豹変ぶりに、気持ちはなんとなく分かるんだが、ややオーバーアクト気味にも感じた。

まあ、イマイチ余韻は残らなかったが、まあそこそこ面白かったかな。