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[コメント] 愛の選択(1991/米)

ジュリア・ロバーツが「荒ぶる女性を演じる技術」に関する全ての特許でも取ったかのように、この作品も毎度おなじみのプリティウーマンチック全開でジュリア・ロバーツ祭り。演出面で発見を垣間見られる瞬間がない分、新旧のジュリア・ロバーツ出演作品を思い出せる瞬間が満載。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一度板に付いた演技を手放すことは簡単じゃないし、本人にとってみれば死活問題だし手放すことなど到底考えられないだろう。また、使っている方も板に付いている演技を期待する。武田鉄矢や市原悦子、最近で言えばキムタクの演技がそうであるように、見ている方も安心や安定感を求めてしまう傾向があるのも確か。

それをそのまま映画でもやっても別に構わないのだけれど、だけどそれを直でやってしまうことで、作り手の志が低いと判断され易くなると思っている。さらに、その手の映画や映像作品などは、ハイスピードで消費されて人の脳に何も残らない運命を辿るのが常のように思う。

ナイーブな問題を孕んでいるだけに、ナイーブに作っていっても良かっただろう。ジュリア・ロバーツ以外の人も演じてはいたけれど、この作品が伝えたいことがジュリア・ロバーツ頼みにしてしまったのは誤算というよりも、「稚拙」の一言につきるのではないだろうか。やることなすこと、仕草一つをとってもジュリア・ロバーツが他の作品でしていたことばかり。

愛情無くして病気は治らないってことも、「愛」が強いというのは良く分かるし、私もエロス(男女愛)とフィオレ(兄弟愛)とアガペ(無償の愛)を最優先で大事にする。が、しかしこの作品に限って言えば、二人の間に愛情が芽生える展開は見え見えであり、キャスティングと同様に捻りが欲しかった。そこに普遍のテーマを「恋愛」だけしか浮かび上がってこなかったので、人を唸らせる捻りが欲しかった。

恋愛だけではなく、生命の儚さや強さをもっと表現できる余地があるのではないか?案の定、予定調和に、命が助かることで作品は綺麗に収まったかのように見えるけど、そこにたどり着くまでに登場人物が得た価値観や発見は、私は「はい、そうですか」と簡単には受け入れることは出来なかった。もう一度補足も加えて言う、「私もエロス(男女愛)とフィオレ(兄弟愛)とアガペ(無償の愛)の“3つ”を最優先で大事にする。」

(ひらたく言えば、「親族が病死や入院が続いている」と言った私情を絡めて見てしまったので、あまりにも綺麗に描きすぎている内容に違和感を憶えたのだ。)

よって、少々強引だが、他の映画からの拝借が多いこのオリジナリティが素晴らしく乏しい作品に特効薬はない。

私が薬を出すとしたら、もっと凄い酷評だろうか。それとも、「つまらんから見るな」をチェーンメールで知人に送りつける特殊療法ぐらいか。今回は初回ということで、軽めに点滴打っておきましたレベルのレビューにトドメときます。

2003/2/24

(評価:★2)

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