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[コメント] 2010年(1984/米)

前作より映像表現が退化している点がキューブリックのセンスを神格化しようとしている反面、内容は前作の暴露話だからそれの神格化を食い止めることに躍起になっている感じ。プラマイゼロで作業効率が悪い作品といったところ。自立した作品ではない。しかし意味はある。モノリスのように。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







つまり、

ロイ・シャイダーの出現を加味して解読するとモノリスは宇宙の鮫だということ。もっと現代的に解釈すれば怖いオッサンには距離を置け、店内が暗いお店は避けろということなのだろう。いつの時代でも知らない人にはついて行くな、と親切に教えてくれる宇宙の懐の大きさが温かいことが証明されました。

で、

内容を例えると、前作は思春期真っ直中の艶めかしい子供、この作品は初体験を済ましてルンルン気分でホテル街を闊歩する子供って感じ。

全てを露わにされるよりも、チラリズムで焦らされていくことを良しとしている私のMっ気は、堂々と風呂場から直でパンツ一丁でいきなり登場されるのを望んでいないのだが、人は大胆になっていくものだから、いつかはくるだろうと覚悟はしていたので、そんなに悪い気はしない。しかし、何度も見たくない。妄想力の衰弱を招き、そうなると独りのとき独りで愉しめなくなるから。

いつだって自分は自立して考えたい。これで満足するのではなく。

と、普通に語るなら、地球人が地球人が作った価値観を盲信し盲従することの危うさを、地球人の価値観の破壊を生じさせて教えているのが興味深い。

HALにしてもモノリスにしても惑星にしても、地球人の価値観でいけばそれらは自分たちとは違い、意志、意思が無いとし、肉体がなければ無だと信じ切っている感覚を、HALの感情の芽生えやモノリスの増殖、記憶が人への問いかけをすることで崩壊に導いている。

地球人の、無限の感性に“壁”や“境”を築いて自分の能力を低めているのを知って、“壁”や“境”を壊してくれた宇宙の親切心の表現は見応え十分だったように思う。

2003/8/22

(評価:★3)

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