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[コメント] 誰も知らない(2004/日)

「子供は子供らしく」という是枝裕和のインタビューを思い出す。また、公式ページにある、是枝自身が1年間撮り続けた子供達の写真。子供達の素顔は本当にまぶしい。物語が佳境を迎える中、カメラを前にした子役達に是枝は何を思ったのか
ナッシュ13

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鑑賞後、自宅にて巣鴨事件の概要を調べると大体を把握することができた。「実際に起こった事件をモチーフにしています」という作品との差異は多少ながらも感じることができた。でもこの際、そのことは少し片隅へ置いておいてもいいのではないか。重要なのは是枝が鳴らす警鐘そのものだ。巣鴨事件は88年の事件でありながらこの作品の舞台はおそらく現代である。(敢えて言うが)映画化することができてしまった「誰も知らない」は「誰も知ろうとしない」結果としか言いようが無い。それくらい辛い事件なのに。

例え劇中で繰り広げられる展開が異常だとしても、是枝の描く日常の風景が本当に素晴らしい。人物の目線に立ちながら、それが例えコンビニの店員であってでもだ、しっかりと細部にわたって描写されていることに感動してしまうほどである。同時に四季を描き方も綺麗で、悲しくて、とても味のあるものだった。冬は本当に寒い風がスクリーンから吹き込んできそうだったし、夏にはジメジメと汗が滴り落ちてきそうな感覚に襲われるのだ。無駄な音楽を一切排除して「自然音」にこだわったという点も勿論大きいだろう。しかし、もっと素晴らしいのは是枝が撮影に日数をかけ、子供達とふれ合いながら撮影をおこなったからなのだと思う。

悲しくも、温かい映画だ。

(評価:★4)

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