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[コメント] g@me.(2003/日)

原作の内容を早々と畳み掛け、後半はオリジナルに近い脚本。無理に原作を濃縮させるよりは面白い。そのオリジナリティーも東野圭吾らしいアイデアで安心した。映画的なセンスに乏しいのが唯一の痛手。緊迫感なんてゼロだ…
ナッシュ13

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原作『ゲームの名は誘拐』は東野圭吾作品において特に傑作に値するものではなく、近年では珍しい、細かなトリックに固執された描写の作品であると思う。もっと奇異なトリックについても他の作品にゴロゴロしているくらいだ。その個人的には「佳作レベル」の作品の映画化。自分はいろいろな意味で鑑賞することが楽しみで仕方なかった。

原作がある場合、その原作を如何に表現させるかがポイントになる。既に読了している人の為に「映画」という媒体で“面白く”見せ付ける技術も必要になってくる。ここで、作品を託された監督の手腕が必要不可欠になるのだろう。原作を殺してはならないからといって監督が縮こまる必要はない。上手く釣り合う様に両者がシーソーに乗った状態がベストなのだと、僕は思う。そういった意味で、この『g@me.』は非常に惜しい作品でもあった。淡白な描写に緊迫感を感じることはなく、佐久間の苦悩や千春の戸惑いも、もっと追及すべきだったと思う。結果、前半の淡々と進んでいく展開は退屈で、徐々に二転三転する箇所からしか見所がないようにも思えた(勿論、多少なりとも原作を読んでいたからという理由はあるだろう…)。

原作との比較はあまり書くものでもないし、やはり読んでいる身からすれば内に秘めておきたい部分もある。これから原作を読む人だっているのだから。でも、少なからず言える事は「原作と映画ではメッセージ性に多少のズレが生じている」「事件そのものも多少の脚色がある」「佐久間駿介と葛城千春のキャラクター性は遠からず近からず」といった感じだ。もっとズバリ指摘するならばISAMが演じた安藤純平は原作に出てこない。ということは、あの終盤のトリックは…?というこのになるのであーる。気になる方は原作を読んでみては??

恋愛を絡めた娯楽性など、井坂聡の手腕はそこそこ発揮されていた。東野本人が『秘密』と同様にカメオ出演したりするのも面白い。それも何故か北陽の2人と一緒に…。ガッツ石松の使い方や椎名桔平の脳内刑事(笑)も面白い試み。ただ気に食わないのがフジテレビ色の強いところ。そんなの『踊る2』でウンザリだっつーの…。

(評価:★3)

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