[コメント] ここに幸あり(2006/仏=伊=露)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ちょっとした失言で、現世のチカラの根源すなわち金、地位、女、家をすべて失ってしまう主人公。仕方なくふるさとへ帰還する話なのだが、故郷に帰ると、彼が大臣であろうがなかろうが関係なく自然体で接してくれる旧友たち、旧恋人たち、親族たちの暖かさ。
都会人たちがふと疲れたときに見る映画としては最良のものだと思う。画面に散りばめられているイオセリアーニのさまざまな想いは枯れた感触ではあるが、観客に伝わるときには蒸れた水分のように全身に漏れなく入り込む。
そこに在る人間たち、動物たち、酒、人種、音楽すべてが一片の人生となり軽やかだ。人生って、自然体でいいじゃないか、構えなくていいんだよ、と。
だが、主人公のように誰からも自然に愛される人は、たとえ大臣になってもまったく付き合い方を変えなかったんだろうね。人間って、やはり齢を経て、何か階段を上がるごとに背に重いものも増えていくけれども、捨てていかなければならないものも多い。フラットでいることは難しいものの、出来たらそうありたいものですね。
そう、人生って、独りではもちろん生きていけないわけであって、常にふと振り返るとそこに真実の気の置けない友がいる、なんてそういうワールドにいたいですね。そのためには常に自分を磨き続けないといけないんですが、、。
そういうことなどこの映画を見て感じ取りました。
題名の「ここに幸あり」は少々ダサい気もしますね。原題の「秋の庭」の方がこの映画を物語ってます。
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