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[コメント] 魔女(1922/スウェーデン=デンマーク)

映画で「魔女」を学ぶ。そのユニークかつ異様な世界は、枝葉で『尼僧ヨアンナ』やチェコアニメなどが連なりつつも、結局直系の子孫を残すことはなかった(多分)。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







全体の作りから言えば、再現ドラマ付のテレビドキュメンタリーの先駆のような感じ。しかし、そんな言葉で括ってしまうには惜しい、妙な迫力がある。

まずは様々な舞台装置、トリック撮影が楽しい。後の人形アニメーションなどの遥かなる祖先のような趣。一方では、この時代にしては異例とも言えるほど、細部に至るまで中世の世界をリアルに再現している。そして、この二つの要素の落差が異様な雰囲気を生んでいる。

時にリアルな再現が超現実味を帯びたり、トリック撮影がツクリモノ以上の妙な迫力を持っていたり。おそらく目指したのは、外面的な意味での再現ではなくて、中世の人々の「精神世界」の再現なのだろう。確かに、今日の人間の目には見えないものが、当時の人々には見えていたのだろう、という気にはなってくる。

全部で7章。淡々とした講釈から始まり、章が進むにつれて映画も異様な熱気を孕んでくる。とはいえ、最終章での現代と中世との結びつけは、今となってはそこまで真新しいものではない気もする。しかし、拷問の図の細部を淡々と指し示しながら解説したり、拷問道具を実際試してみたりと、作り手側のある意味常軌を逸したノリが伝わってくる。ユニークの一言。

(2007/2/27 再見)

(評価:★4)

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