コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] グレース・オブ・ゴッド 告発の時(2019/仏)

フランス版『スポットライト』か。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「スポットライト 世紀のスクープ」が「メディア側」から描いた映画だとすれば、今作は「被害者側」から描いた映画といえよう。

137分と、やや長尺な映画だが、「導入部」とか「序章」とか全く無しに、いきなり本題から始まる。そして進んでいくと「主役が4人」いる映画とわかる。医者の男は別にして、他の3人は「生々しい」行為が語られる。子を持つ親なら、耳を塞ぎたくなるような内容だ。そして子供たちの中では「公然の秘密」だということも。

実際の事件をもとに製作され、神父の名は実名。現在も裁判で係争中らしい。別の映画でも思ったが、フランス人気質として「議論が好き」なのかな?と思います。そして戦う相手が「教会」ということで、「沈黙を破る」ことがどれだけ重大なことかも描かれます。

アレクサンドルが「話せるようになるまで30年かかった」というのも頷ける。彼もリヨンに神父が赴任しなければ、口を開くこともなかっただろう。そしてその段階で、枢機卿が神父を解任していれば、裁判に発展することもなかったと思う。「沈黙を破る会」が枢機卿まで断罪を求めることになったのは、ちょっとびっくり。それに積極的だったフランソワが、「パイロットを雇う」とかの話は、普通に引いた。そして彼の兄も「被害者」だったことが終盤で描かれる。

神父自身は当時も今も「認めている」のに、なんで誰も何もできなかった?と思う。

「悪事を暴くメディアの活躍」を描いたハリウッド映画と、「被害者たちの葛藤・苦しみ」を中心に描いたフランス映画。それぞれに「らしさ」は出ていますね。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。