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[コメント] ブラック・フィルム(2014/日)

ガキさん(新垣)のファンなんだが、「駄目なものはダメ」とちゃんと言うのもファンの仕事だ。ダメだぞ、すべてが。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







よく、アイドル主演のホラーが製作される。これは「アイドル映画」として「映画ありき」のものとして企画され、主人公を演じるアイドルの演技力のなさを誤魔化す手段としての、ホラー。

今回、ガキさんが主演の映画が公開されるというニュースと、劇場にチラシ。「殺しあいましょう、フィルムの中で・・・」というキャッチコピー。あまり好きなジャンルじゃないし、全く期待もしてなかったんだけど、ひょっとして、すごく面白い作品になる可能性があるジャンルでもあるので、一縷の望みを抱いて、映画館へ。

・・・・・・・・、・・・・・だ、だめだ。ひどい。少なくとも「面白い映画を作ろう」という気概が全く感じられない、映像も、脚本も。正直、ガキさんにとってプラスになるものがひとつもない。黒歴史にならなきゃいいけど。

まず、「ブラック・フィルム」というタイトルの映画なんだから、もう少しフィルムの中に怖さを感じるものが写るという展開じゃなきゃだめでしょう。それに「怖い(と思わせる)シーン」を全部言葉で説明してるホラーって何だよ!以前にあった少女の自殺ご、「13人死んだ」ってのを言葉で説明してるけど、それを3つ、4つだけでも惨たらしい惨殺死体を出すだけで、ずいぶん印象変わるのに。天宮良演じるプロデューサーのシーンも、「行方不明だ」「発見された」「目と腕が・・・」って、しゃべっているだけで、大事なシーンのはずなのに、それをもっと映さなきゃ。

ガキさんを「怖がる側」じゃなく「恨む役」のほうにしたのはちょっとだけ工夫したと思いますが、その「恐怖」が全くない。ドリフのコントの「志村〜うしろ!」のほうが雰囲気があるよ。

無駄なシーンも多い。冒頭のワークショップのシーンで、参加メンバーを全員、一人づつじっくり映す意味が全くない。そこにその後ストーリーに誰も絡まないわけだし、そもそもオーディションするなら、もうすこしほかのメンツの「ルックス」だけでもランクを上げないと。

それに一番憎いはずの女を殺さないでどうする?

そもそも「自殺」するように見えないんだけど、主人公が。挫折したのはわかるけど、「妹おもい」だったはずなのに、その妹を残して死ぬようには思えない。死ぬなら、せめて、死ぬ前に元彼か、妹か、オーディションで「仲がよかった」という女の子にでも、「ちゃんと悔しい、憎い、悲しい」という絶望を伝えなきゃ。でなければ、死んでしまうことにも、恨むことにも共感できない。

せめて、こういうストーリーで。

.↓

まず、主人公・沙織は枕営業をしていない、ADの小川は美穂に好意を抱いているが片思い。

・・・・、主役は沙織に決まりかけていたが、美穂の枕営業と、大手事務所の策略で、主演は美穂、ライバル役に沙織という配役になった。しかし、一緒のスクリーンにいては、自分は負けると思う美穂の指示で、沙織と元彼が歩いているところへトラックが突っ込んでくる。沙織をかばうために、元彼が車にはねられ死亡し、沙織も大怪我を負う。そのため、ライバル役も降板させられる。

・・・ 沙織は、ある夜、病院の屋上に美穂を呼び出す。あなたの仕業ね?と問い詰めるが、少しも悪びれずにせせらわらう美穂。「どんな手段を使っても主役の座を手に入れる、それがリアル・アクトレスって映画でしょ?」と。愛する母と彼、そして仕事を失い、絶望した沙織は、「あなたを絶対許さない!私のすべてを奪ったあなたを許さない!」と美穂に掴みかかるが、怪我をしている沙織は美穂に突き飛ばされ、屋上から落ちてしまう。その様子を下でずっと見ていたADの小川。

もう美穂に怖いものはない。沙織は「自殺した」と片付けられてしまった。そして映画はクランクインをするが、そのころから現場に不思議な現象が頻発する。セットが突然倒れてきて、美穂が怪我をしそうになったり、白い衣装が血で染まったように赤いしみがついていたり、ふいに照明が全部消えて真っ暗になったり。

そして撮影したフィルムの中に写ってはいけないものが写っているのに気づいた小川は、監督に中止を要請するが却下される。その夜、プロデューサーの宮崎の部屋のバスルームの鏡に髪の長い女の影が。気づかずに入浴する宮崎の背後に、血まみれの手が伸びて浴槽に頭を引きずりこむ。抵抗するが腕に足に黒髪が絡みつき、宮崎は浴槽に沈む・・・。部屋を訪ねた美穂が見つけたのは、変わり果てた宮崎の姿・・・。

その死は事故扱いとなり、撮影は続けられる。翌日の撮影で、ライバル役に抜擢された女の子が、美穂の目の前で奇声を発する。「まだまだ足りない、まだまだ許さない!」と叫び、気絶する。そのとたん、美穂の髪の毛が突然ばっさりと切れて落ちる。

撮影は中断し、そのフィルムを試写室で一人で見ていた監督は、ライバル役の女の子の背後に血まみれの女が写っているのに気づく。そしてフィルムの中で鋏をもったその女が美穂の髪の毛を切ったのだ。驚く監督。次の瞬間、その女がフィルムの中で監督の方へ向き直ると、それは血まみれの沙織の恨みのこもった眼差しだった。鋏を持った沙織は少しずつ近づいてくる。その姿は監督の背後にある鏡に映っている。そして鋏を振り上げた沙織は、鏡の中で監督の眼に突き刺した・・・。

美穂は、自分の周りに不可思議な出来事が起きていることに気づいていた。ばっさり切れた髪を鏡に映して考えていたが、鏡の背後に何かが写っていることに気付く。振り向いても何もいない。しかし鏡の中には女の姿が。あわてて逃げ出す美穂は、小川とぶつかる。彼は美穂に沙織の事を問いただす。美穂は「仕方がなかったのよ、でも突き落とすつもりはなかったのよ、あれは事故なの!信じてよ。」

突然撮影したフィルムが再生される。さっきのシーンの、でもフィルムに写っているのは美穂と、もうひとりの女は沙織だった。「まだまだ許さない」と叫ぶ沙織の手には炎の灯ったロウソクが。あたりは火の海と化す。出口へと逃げる美穂だが、なぜか鍵がかかっている。閉じ込められた美穂と小川。「出して!助けて!」と叫ぶ美穂。「許さない、許さない、許さない!!」少しずつ近づいてくる沙織。真ん中に割ってはいる小川。

「もうやめるんだ沙織ちゃん」と小川。「こんな事をしたら、君の母さんや彼氏が悲しむよ、やめるんだ」「助けて、小川さん助けて!」「お願いだ沙織ちゃん、やめるんだ」、小川はこの映像が隣の試写室から映し出されているのに気付く。ガラスを叩き割って試写室に入ると、そこには血まみれの監督の死体。その横に映写機。その間に沙織は美穂の服に火をつける。さけぶ美穂。

小川は映写機に火をつける。そのとたん、フィルムは炎に包まれる。映像の沙織も燃えてゆく。「沙織ちゃんごめん」と小川。沙織は炎の中へと消えていった。そのとたん、鍵が開き、美穂と小川は助け出されるが、美穂は顔に大やけどを負ってしまう・・・・。

映画撮影は中止になり、美穂は入院する。火傷は重傷だが、命はとりとめ、手術も成功する。そして、2ヵ月後ようやく包帯が取れる。医師は「火傷の痕もほとんど目立たないですね、よかったですね」と鏡を差し出されるが、その鏡に映った顔は沙織そっくりの顔だった・・・。

その顔を見た美穂は狂った様に病室を出て、そのまま屋上からかつての沙織のように飛び降りるのだった・・・・。

はぁ、つかれた。でも、この映画よりは「怖いストーリー」じゃないかという自信はある。っていうか、素人にそんなこと思わせちゃだめだよ。

ガキさんのファンだけど、だめなものはだめというのもファンの役目。でもこれはガキさんのせいじゃないから、気を落とさないでね。

ちなみに、上映終了後、スクリーンには「停止」の文字が。 これは時代の移り変わりなんだが、もう「フィルム」ですらなかった。強いて言うなら「ブラックディスク」だ。

(評価:★1)

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