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[コメント] 海の上のピアニスト(1998/伊)

ピアニストにとってアメリカとは。
wanwan

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「あの大きな街・・・終わりがなかった。終わりは?教えてくれ。どこで終わるんだ?タラップまでは、よかった。さっそうとコートを羽織って、カッコよかった。降りることは平気だった。それは問題なかった。問題は目に映ったものではなく、映らなかったものだ。分かるか?あの巨大な都会・・・すべてがあったが、その終わりは?終わりはどこに?すべてのものの行きつく先がみえなかった。世界の終わりが。ピアノは違う。鍵盤は端から始まり端で終わる。鍵盤の数は88と決まっている。無限ではない。弾く人間が無限なのだ。人間の奏でる音楽が無限。そこがいい。納得がいく。あのタラップで目の前に広がっていたのは、制限なく続く何千万何億という鍵盤だった。無限に続く鍵盤。無限の鍵盤で人間が弾ける音楽はない。ピアノが違う。神のピアノだ。あの街を縦横に走る数え切れないほどの道。その中から1本の道を選べるか?1人の女、1軒の家、自分の土地、自分の見たい景色、自分の死に方。終わりのない世界が上からのしかかってくる。そこで生きていく?考えるだけで恐怖に潰されちまう。僕はこの船で生まれた。世界がここを取りすぎていく。だが1回に2000人づつだ。ぼくだって夢を描いた。だが舳先と艫の相田に収まる夢だ。無限じゃない鍵盤で自分の音楽を創る幸せ、それが僕の行き方だった。陸地?僕には大きすぎる船だ。ぼくには美しすぎる女。長すぎる船旅。香りの強すぎる香水だ。僕には弾けない音楽だ。僕は船を降りられない。だから人生を降りるほかない。」

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] sunny[*]

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