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[コメント] 映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022/日)

ある医療用語について間違った認識をしているのは困る。
カルヤ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「高次脳機能障害」

高次脳機能障害は脳の損傷によって起こる様々な障害(「見る」「聞く」等の単純な、つまり“低次”な処理ではなく、見たり聞いたりした情報から複雑な処理をするので“高次”)で、損傷部位や損傷の程度によって様々な症状を引き起こす。生活での工夫はもちろん、他者のフォローが必要になることも多い。そして一定期間経っても症状が残っている場合、少しずつ改善することはあっても、その症状と一生付き合うことになる。つまり発症時と同じような目に遭ったからといって治るものではない。

そもそも視覚失認で劇中のような症状が出るとは思えないが、物語のアイディアとしてはまあアリかもな・・・と思っていたのだが、あの治り方は困る。誤解を招いてしまう。

私は医療従事者で高次脳機能障害をお持ちの方とも接するので、この「治った」という描写はとても気になった。あれで治るのだとすれば、精神的というか心因性のものではないだろうか(そちらの知識は疎いのでハッキリとは言えないが、少なくとも高次脳機能障害と精神疾患の合併とか)。

もうひとつ、細かい話だが「高次脳機能障害による視覚失認」という医者のセリフ。

このセリフでは視覚失認の原因が高次脳機能障害のように聞こえるが、そうではない。高次脳機能障害というのは、上述したように脳の損傷によって起こる様々な障害、視覚失認の他、注意障害、構成障害、失行等の総称である。そのため「視覚失認という高次脳機能障害」もしくは「高次脳機能障害のうちの視覚失認」という表現にしかならない。

アニメ版では気づかなかったのだが、今回は高次脳機能障害が治ったという展開を既に知っていたため気づいたのだと思う。この点からもあまり調べずにこの用語を使ったんだな、と残念だった。

内容の感想としては・・・映画用に付け加えた部分を見られたのは、まあ良かったかな、という程度。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)死ぬまでシネマ[*]

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