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[コメント] ガールズ&パンツァー 劇場版(2015/日)

明るく楽しい戦争ごっこ、というものに心が痛まなくもないのだが、微塵も言い訳せずにフェティッシュに突き進んだ勇気と、それを支えた作画のクオリティの高さは素晴らしい。戦車のハッチの上からの主観視点なんて、数多の戦車映画でもあまり見た覚えがない。
イリューダ

私は個人的に、自分の命を預ける無生物に対する感情移入、というところにとてもぐっとくる。アポロ13でいちばん泣けたシーンは、自分たちの生命を救ってくれた月着陸船を見送りながら、「いい船だった」とクルーがつぶやくシーンだった。本作でも、お世辞にも強力とは言えない八九式中戦車に対して、「ちっちゃい体でよくがんばったよな」とバレー部の面々がねぎらうシーンで涙が出てきた(まあいくら悲惨な撃破をされてもケガ一つしない世界観なので命は預けてないのだが)。

本作はテレビシリーズは1クール12話、その後OVAやドラマCDがあるとはいえ、登場人物の多さに比して尺が十分ではない。劇場版でもさらに登場人物が増えているため、とてもひとりひとりの人物像がきちんと描かれているとはいえない。でも、たとえ端役でも描写が一貫していて丁寧なため、キャラクターとして薄っぺらな感じはなく、ストーリーの駒として使い捨てられているキャラもいない。だから彼女たちの何気ない台詞に、その向こうにある人物像を想像できて(これこそオタク的な楽しみ方のひとつだろう)能動的に作品を楽しむことができる。いいおっさんが少女の人物像を想像してニヤニヤしてるのもよく考えると気持ち悪いが。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)MSRkb 荒馬大介[*]

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