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[コメント] ワイルド・スピード(2001/米)

何にも考えずに観られる馬鹿作品だと思ったら、少しは考えさせてくれる馬鹿作品でした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実際バカ映画はバカ映画には違いない。物語は適当に辻褄合わせるだけだし、中でやってる作戦も無茶と言うより無理としか思えないものばかり。そんな無茶やってるキャラがみんな馬鹿ばかり。要するにほとんど全部が馬鹿。

 だけど、そんな中、色々考えさせられるものもある。徒然に挙げてみよう。

 一つにはこれがアメリカで作られた作品とは思えないくらいに国際色豊か。中心こそアングロ・サクソンかもしれないが、周囲を固めるのはアフリカ系、プエルトリコ系、アジア系と多彩で、それもみんなが仲間意識を持っている。しかも劇中使用されている車の大半は日本車ばかり。と、かなりリベラルな体質で作られてる。

 この理由を考えるに、こう言う狭い空間でのレースに限定する場合、ワイルドなパワー重視よりも小回りの利く日本車を使用した方が良いし、そう言う車を好むのはアングロ・サクソン系でない人たちばかりなのだろう。むしろこれって凄くリアルな話なんじゃないだろうか?

 そしてもう一つが、本作のレース風景がかなり特殊なこと。今やアクションシーンにCG使うのは当然だが、レースにCGを使うとこんなに映えるのか。と感心。しかもその描写の仕方がリアルな車ではなく、アニメーションそのもののデフォルメで。思うにCGデザイナーにアニメ版の「頭文字D」のファンがいたか、あるいはモロにその描写をパクったのだろう。そのためアクション部分がとてもアニメ的になってる。

 前に(と言うか、実際に言ったのは本作よりも後だが)押井守が「すべての映画はアニメになる」と吠えた事があった。実写と言えども、実際に撮影されたものはすべて素材であり、その素材をPC上で組み合わせることで、作り方がアニメーションになると言う意味だったが、実際には押井がそれを言う前に、既にその実践が本作によってなされていた。と言うのが面白い発見。

 単にノリと馬鹿で作られているような作品であっても、実はかなりエポックメイキングな側面があったのだと改めて思う。

(評価:★3)

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