[コメント] ルパン三世 念力珍作戦(1974/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「ルパン三世」は1967年に連載が開始され、大人向きTVアニメーションとして1971年にテレビで観られていた。その映画化として作られたのだが…
なんというか、もの凄い違和感だらけの作品になってしまった。
最近の漫画原作作品は原作に敬意を表し、ちゃんとキャラに合わせようとしているし、その努力を観るのも楽しみの一つなのだが、この当時の漫画原作作品というのはキャラクタの改編どころか設定も変えるし、「このキャラはこんな事をしない」というのを平気で破る。特に1970年代の漫画ブームでは低予算の映画化が当然とされていた風潮があった。
勿論これは予算と技術が漫画に追いつけないってのが一番だが、漫画が低く観られていたということもあるだろう。作り手も漫画は漫画、映画は映画で割り切ってるし、観てる側もそれを承知で観ている。
…という前提があるにせよ、これほど“コレジャナイ感”が高い作品も珍しい。ルパン三世というネームバリューが無ければ作れないが、一本の映画としての魅力もそう高くはない。原作の設定に負っていながら、その設定に対する敬意がないので、中途半端になってしまったな。
色々問題はあるが、この作品に出てくる「ルパン帝国」というのは、初期の原作に登場するが、原作でも物語に活かされにくかったらしくて結局は消えてしまった設定の一つで、わざわざそんな使いにくいものを出したため、余計コレジャナイ感が強烈になっている(ちなみに、原作ではルパン帝国は一世が作り、二世時代に壊滅的な打撃を受けたが、三世になって、世界中に根を下ろす巨大な悪の組織になっているらしいが、その実態は謎のままという設定になってる)。そのため、最初から「映画だから仕方ない」という生暖かい目で観る必要性はある。
ただ、本作の一番の見所は、どれだけ原作からアクロバティックに離れられるか?と言うところにあるため、逆の意味でそれが魅力になっているのが本作の面白いところ。似てない部分を楽しめるように出来ているため、これはこれで一応成功と言っても良いかと思われる。
目黒祐樹のルパンはともかく、田中邦衛の次元とか伊東四朗の銭形とか、違和感しか感じないが、その違和感をひっくるめて楽しむのが本作の魅力と言えよう。
ちなみに原作にあった♂♀マークでの性描写には妙に力が入っていて、これまで何本もの作品が作られた中でも最も原作に近いものになっているのは一応売りと言えるだろう。
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