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[コメント] 忍びの者(1962/日)

「忍者の使命と哀しみ」に焦点を当てた作品作りは上手くいってた。忍者の動きも超常的なものじゃなかったのも良し。監督らしくメッセージ性もあり。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 それまで一種のスーパーマンのように描かれていた忍者を、荒唐無稽な忍術使いではなくリアルな存在として描いた初めての作品で、これによって新たな忍者ブームを引き起こしたという曰く付きの一本。

 本作と続編の『続・忍びの者』を連続して観たが、この二つを連続で観ると、とにかく凄い!の一言。流石は社会派監督の筆頭に挙げられる山本監督。あくまで娯楽作として作りながら、忍者として生きる人間の悲しみや、時代の重みに押しつぶされる姿勢の人間をしっかりと描いてくれている。

 元となる小説はあるとはいえ、石川五右衛門が忍者の一人だってのも面白い解釈だし、その行動は戦国ならではのもので、実によろしい。

 それでこの物語だと、濃い役は伊藤雄之助と城健三朗(=若山富三郎)に任せ、主人公の市川雷蔵がかなり引いた立場にある。“忍ぶ者”としてあくまで時代に流されるだけの一人の忍者をしっかり演じていたのが良い効果を上げている。

 これまで社会派作品ばかり作っていたので、アクションは苦手か?と思っていたが、そこら辺も結構良い出来で、流石一流監督と言った感じ。

 強いて言うなら、もう少し忍者の里の描写を丁寧に描いていれば、その悲しみってのがもっと拡大されていただろうけど、アクションにも力を入れていて、この時間に収めたのだからバランス的にはこれで良いのかな?

ところで伊藤雄之助の怪演ぶりは見事だが、あの喋り方とか目の剥き方を見ていると、どうしても竹中直人を思い出すってのは、私だけ?

(評価:★3)

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