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[コメント] 眠狂四郎魔性剣(1965/日)

全編を覆うニヒリズムがやっぱり眠狂四郎と言う事を思わせます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私は実はかなり眠狂四郎シリーズが好きなのだが(DVDも持ってるし)、それが何故か?と考えると、単に市川雷蔵が格好良いというだけでなく、このシリーズは他の時代劇とは異なり、強烈なアンチテーゼを含んでいることが挙げられるのではないかと思っている。狂四郎自身はちょっとしたニヒリストで、侍というのをとにかく嫌っていながら、自分が侍であるということから逃げることが出来ず、何もしないことを自らに課している人物として描かれている。

 そんな狂四郎を主人公とするだけに、武士として生きる人間とのぶつかり合いが展開していくことになるのが多いのだが、侍であることの辛さと痛みを演出するのに、本作はその最たる例と言えるだろう。

 武士として生きるというのは、武士の男だけではない。彼の生き方を肯定しなければならない立場にある人間も又、武士の重みを受ける事になるのである。その辺の人間との絡みを描くことによって、武士の弱さを描けるようになったのだが、その辺をヴェテラン安田公義がしっとりとした感触で描いてくれた。

(評価:★3)

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