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[コメント] シシリアン(1969/仏)

「むぁ〜てぇ〜。サルテぇ〜」「やっべえ。ル・ゴフのとっつぁんだぁ」…という展開かな?と思ってたんだけど…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ジャン=ギャバンアラン=ドロンリノ=ヴァンチュラという三大スターを配して作り上げられたピカレスク・ムービー。

 格好は良いけどやることなすこと大概裏目に出てしまうドロン演ずるサルテは二枚目半と言った役柄。そしてそんな彼を追うのだが、いつも肝心なところで逃げられるヴェンチュラ演ずる厳つい顔のル・ゴフ刑事。この二人を見ていると、どうしてもあるアニメを思い出してしまう。しかも彼らの行動は穴だらけで、演出がかなり大味なのも、いかにも。と言った感じ(フランス映画というのはその辺を優しい目で見てあげる必要がある)。この二人のやり取りを見てると、まさしく『ルパン三世』を地でやってるな〜。と言う感じ。

 ただ、ここにギャバンが関わると、様相は随分変わっていく。彼は確かにあまり前面に出ることはないけど、ポイントを抑えた登場と、重みのある言葉は画面に締まりと渋みとを与えてくれている。

 だからこそ、物語はギャバンによって閉じられること。これは正解だった。

 あのラストは良い。自分一人で逃げれば夢が叶うというのに、ファミリーへの裏切りは決して許さず、サルテを無表情に殺すヴィットリオ。そして最後のル・ゴフ刑事との対話シーン。軽めの作品とばかり思っていたのに、あれだけ渋いシーンできっちりと抑えてくれちゃ、やっぱ評価を上げたくなるね。

 ちょっと難を言えば、ドロンがあくまで狂言回しのようにしか使われなかった所かな?画面上には一番登場していながら、美味しいところは全部取られてしまっていたし…(それでも濡れ場だけは濃厚だったけど)

 あと、勿論音楽も良い。最初はかなり違和感があったけど、後半、あのビヨョョ〜ンという音を心待ちにしてたっけ。

(評価:★4)

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