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[コメント] 少年(1969/日)

大島監督作品に感傷は似合いません。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 そもそもそのデビュー作から、日本に未だ脈々と息づいている格差について、理不尽な怒りを爆発させる少年を描き続けてきた大島監督による作品で、本作も当たり屋をやっていかねばならない家族を描いた作品となっている(ここまで年若い少年を主人公にしたのは初めてだろうが)。その姿勢は変わっていないものの、これまであった監督の“怒り”が、やや情緒の方に傾いていることを感じさせられもする。やっぱり大島監督も日本人なのだ。と思わせられる作品である。

 この家族は実は擬似的なもので、本来少年はそこにすがらなくても良いはずなのだが、それでもやっぱり離れられない。たとえ血はつながって無くても、親と呼んだ存在に対しては、やはり少年は弱い。どれほど酷い扱いを受けていたとしても、ほんの僅かな優しさの記憶がある限り…それが哀しみである。

 ただ、その感傷的な作りがどれだけ功を奏したかは少々疑問点が残り、ちょっと退屈な部分が多すぎたのが残念。子どもの情緒に入り込むなど色々と良い所もあるんだけど、それが今ひとつ伝わってこなかった。

(評価:★3)

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