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[コメント] 私は死にたくない(1958/米)

音楽の使われ方が実に良い作品です。ジャズは希望も絶望も全て表せます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これは凄い作品だ。何せ物語のほとんどが狭い場所での会話だけで成立し、物語的にも決して盛り上がる話ではない。最後は完璧な悲劇で終わる。言ってしまえば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)の後半部分を徹底的に引き延ばしたような作品なのだが、まるで『ダンサー・イン・ザ・ダーク』自体がこの作品を手本にしたかのように、本作は終始モダン・ジャズが流れ、音楽が絶望感を演出しているのが最大特徴。音楽を効果的に用いる事が特徴のワイズ監督の面目躍如と言っても良い。

 それにしてもここでのヘイワードの演技は凄まじいものがあり。警察側は理不尽なことばかり強いるし、それに反発しつつ、罠にどんどん落ち込んでいき、やがてその反発さえも意味が無くなっていく…その絶望に到る過程が克明に描かれるのだが、つまりはほとんどの場合が表情で演技しなければならない事を強いられる。それら全てを演じきった女優魂には頭が下がる。これだけ極限の演技を出させたならば、オスカーも当然だろうが、それを強いたワイズ監督の力量もやはり凄いものだ。特にこう言うのをアカデミーは好むものだし。

(評価:★4)

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