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[コメント] シャイアン(1964/米)

何にせよ、ハリウッドの西部劇の一つの時代の幕引きにはぴったりの作品でした。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 西部劇の代名詞とも言えるフォード監督が、これまでとは全く違った観点で描く西部劇にして、最終作。ここには痛快さも無ければ、明確な盛り上がりもない。全くフォード監督らしくない作品なのだが、これまでひたすら開拓者の観点でのみ西部を描いてきた監督だからこそ、最後に先住者の視点で西部劇を描いてみたかったのだろう。

 ハリウッドのメジャーとして長らく君臨してきた西部劇も、この当時はすっかり斜陽化していた。これまでフロンティア精神に溢れていたアメリカの精神も、冷戦構造を前にして閉塞状況を呈しており、明確な勧善懲悪ものの作品が作られにくい状況になってきたし、人権問題も浮上してきた。そんな時代に合わせたからこその投入となったのだろう。時代がそれを読んだとも言える。

 しかし逆に本作はその重さ故に受け入れられなかったのも事実。同じ年に始まったマカロニ・ウエスタンの明確さの方が受け入れられてしまった。この点は監督の読み違えと言うか、同じ年にこんなのが出てしまったことが悲劇というか。

 ストーリーは滅び行くネイティヴ・アメリカンの行く末を素直に描き、その幕間にダッジ・シティなど有名な話を絡めているけど、幕間と本編が乖離していて小咄程度の役割でしかなかったし、笑わそうとしたにしては、ちょっとばかり無理があったかな?

(評価:★3)

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