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[コメント] 許されざる者(1960/米)

みんな演技が上手いのは認める。だけどなんという居心地の悪さか。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ヘップバーン作品だというので、結構楽しみに観た記憶があるのだが、これはちょっと…って感じ。シャレにならないよ。これは。確かにランカスター、ギッシュ、そしてヘップバーン共に素晴らしい演技を見せてくれる(ヘップバーンは結構見事に馬も乗りこなしてるし)。しかし、である。なんだ?この物語は!

 白人の勝手な都合で“ファミリー”を作ってしまい、それでネイティヴの言うことは無視かよ。もしそれが父親の贖罪だったというのなら、思い上がりも良いところだ。その“贖罪”のお陰でどれだけ死ななくても良い人間が死んだ?…これも運命という奴なのかも知れないけど、それを“良し”としてしまうのは、あまりに気持ち悪すぎる。  家族は単に血縁によって構成されるものではない。作り上げるものなのだ。と言う力強い“一家族の団結”という意味だったら、確かに理由付けは出来るし、物語はハードなものにせよ、受け入れられるのだが、ここに出てくる人間として扱われない存在の数々。どうしてもこれは受け入れることが出来ない。

 一家族を作るために一体どれだけの人間を殺したら気が済む?しかも実の自分の兄を殺してまで、作り上げるのが家族なのか?どうにも生理的に受け付けない話になってしまった。ヘップバーン映画は基本的に好きだし、本作も演技者としては上手いと思う。だけど、やっぱり受け入れられない。

 ちなみにヘップバーン、この映画で落馬によって流産してしまい、ヒッチコックからオファーを受けていた『No Bail For The Judge』が流れてしまったという。気の毒だし、ヒッチコック+ヘップバーンの映画は是非観たかったなあ。それも思うと、ますます点数を低くしてしまう。

(評価:★2)

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