監督と言い予算と言い、超大作となった1作目『スター・トレック』から3年後に製作された作品だが、前作と較べると、明らかに予算は抑えられている。しかしながら、実はこの作品、低予算を逆に上手く使い、設定と会話で上手いこと物語を作っている。実はシリーズ中私が最も好きな作品。そりゃ、アラとかはいくらでもあるけど、思い入れというのはそれ以上に影響する。

　ここで敵役として登場するのはカーン。これはテレビシリーズで登場した敵役だった存在で、知ってる人には懐かしく、なかなかツボを押さえた人選といえる（しかし、オリジナルシリーズを知らないとつらいんじゃないかな？）。私なんぞはたまたま知っていたために凄く嬉しかったが（この作品がベストなのは、その優越感を持ってるからなんだろう）。

　まあ、しかしそれだけとは言えないだろう。ＴＶシリーズの拡大版っぽい作品ではあるが、ＴＶシリーズを知ってる人間にとっては、よくスタッフも設定を知っていることが分かって、なんかニヤニヤ出来る。結構ホラー的な演出も多く（耳にあれ入れるのは思い出すだけでも体に蟻走感が走る)、サスペンス的要素もあって、強引なストーリー展開ながら、かなり楽しめた。意味不明な台詞の数々も、これが結構哲学的で楽しい。多分今観たら更に分かることも多いだろうな。

　それに何より、キャラの思い入れが強ければ、この展開は驚かされるはず。まさかあのスポックが…正直、ラスト部分は大ショック。なんで？なんで？