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[コメント] ジャーヘッド(2005/米)

特異な日常を淡々と描くって好きなジャンルなんですけど、ちょっと引っかかる所が多すぎました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 このところハリウッドは戦争を主題にした映画が割と増えてきているが、本作は現時点では珍しい湾岸戦争物。映画とは世相をよく反映するもので、特に戦争を描いた作品に関しては、その戦争をどう消化しているのかでその国の思いというのが分かると思っている私としては是非抑えておくべき。と言うことで拝見。

 ようやくアメリカも湾岸戦争を消化し始めていることが何となく伝わってきた。これをエンターテインメントとするにはまだ時間はかかりそうだけど、もうあのショックからは立ち直ってきているようだ(イラク戦争が現時点で進行中だから、否応もなく過去に押し込めているのかも知れないけど)。

 映画として見るならば、少なくとも本作には私が求めているものはほとんど入っていたのは確か。ただ、その入っていたものというのがなあ…私が観たかったというか、私が現代戦争ものの中に求めているのは、『フルメタル・ジャケット』(1987)や『地獄の黙示録』(1979)に表される戦争の狂気であり、『ディア・ハンター』(1978)に見られる虚しさだった…少なくとも間違いなくこれらの映画をよく抑えて入れている(これに関してはほとんどの人の同意を得る確信がある)…入れてるんだけど、あんまりにも直接的すぎやしないか?ここまで嫌みったらしく過去の映画を挿入するか?ここまでやるとさすがに引くぞ。

 あくまで戦場での日常生活を描くことに特化させたのは評価部分。異常なシチュエーションでも人間は食べねばならないし、排泄もする。性欲ももてあます。その辺の描写が巧くまとめられて多のは嬉しい。こういう描写がある戦争映画ってなかなか無いもので。それにあのトイレの掃除は私が昔神戸でボランティアやってた時のことを思い出させてくれたよ。人間にとって大切であり、誰もそれをやりたがらないからこそ、遅れてボランティアに来た私の仕事はメインがトイレ掃除だったもんで(あの時は「私はこんな事をしに来たんじゃない」とか思ってたけど、今にして思うと貴重な体験だったと思う)。ただ、その辺の描写が淡々としすぎていて、ちょっと眠気を覚えてしまったところがあり。

 キャラクタで考えるなら、今ノリに乗ってるギレンホールが主人公というのは良いチョイス。純粋な意味でのヒーロー役があまり似合わない分、日常描写には映える人だと再認識。脇に回ったフォックスが又良い役を演ってる。この人も貫禄出たね。

(評価:★3)

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