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[コメント] インテルビスタ(1987/伊)

フェリーニのたっぷりした遊び心が楽しめます。まあマストロヤンニの楽しそうな事。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 フェリーニは間違いなくイタリアを代表する世界的な大監督だが、撮っている作品の多くは実験的内容を含む。中でも『8 1/2』(1963)は物語性よりは映像の可能性を追求したような作品で、映画の楽しさを追求したような作品に仕上げられていた。本作も又、かなり皮肉は入っているけど、映画作りの楽しさを存分に見せた作品になる。特にフェリーニを慕って来る人達が豪華で、現実なのか、映画の出来事なのか、全然分からないところもポイントだろうか。特に魔法使いの格好をしたマストロヤンニは登場から人を食っていて、更に映画ならではの演出の数々を見せつけてくれる。いつの間にか本人なのか、魔法使いのマンドレイクなのか、だんだん分からなくなっていく。良いよねえ。こういうメタ作品って。

 フェリーニ自身の思い出や映像論も展開され、映画の勉強にもなかなか役立つ作品だし、この年齢になってまだまだ映像への挑戦を続けている監督の精力にも驚かされる。

 映画そのものを題材とした作品としては、トリュフォーの『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973)が有名だが、本作も又、映画作りの楽しさを追求した作品として記憶して然るべきだろう。

 監督の遊びとして、幻に終わった映画を劇中劇として登場させているのも特徴だろう。最初にフェリーニが撮っている作品は『アメリカ』。そして魔法使いの格好をして登場したマストロヤンニは『魔術師マンドレイク』の扮装。どちらもフェリーニ監督が撮影しようとして果たせなかった作品だった。

(評価:★4)

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