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[コメント] 炎と女(1967/日)

松竹ヌーヴェル・ヴァーグの中では珍しく現代にもちゃんと通用する作品です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手吉田重喜監督による当時最先端技術だった人工授精問題を元に、時事を取り入れて冷徹な夫婦関係を描いた作品。

 一見幸せな、しかし奥にドロドロとした関係を秘めた家庭が、夫婦仲の危機を乗り越えて本物の家族になっていく過程を描いているのが本作の特徴で、現代で作られても全く遜色ない出来に仕上がっている。演出部分と言い、設定と言い、誠に良い素材と言えよう。

 ただ、私の好みか?と言われると、どうもそこからは外れてしまう。こういうドロドロした男女関係を描いた作品はどうにも苦手であり、本物の家族になっていく過程があまりにも切ない感じ。後のATG作品とは違い、設定の方が重視されているのは好感が持てるとはいえ、やっぱり昼メロっぽさはどうしても抜けない印象でしかない。

 逆光を多用し、息詰まるような男と女の対峙関係など、映画として語るべき部分は多いのだが、前提条件として物語自体が合わないのが根本的な問題とも言える。

 この点数は結局私自身の好みの問題に過ぎない。日本映画を語る上で是非ご覧になって欲しい作品である。

(評価:★3)

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