[コメント] おばあちゃんの家(2002/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
母親が職探しをする2ヶ月の間、田舎に暮す祖母の家に預けられた男の子。祖母は耳が聞こえず口もきけない、目もあまりよくない。この男の子の設定がとんでもないクソガキで腹立たしいことこの上ないわけ。聞こえないのをいいことに「バカ」と言うし、ゲーム機の電池が切れればお金代わりに祖母の髪留めをくすねてお金代わりにしようとするし、ケンタッキー・フライドチキンが食べたいと駄々をこねる。見事なまでに儒教思想がどこにもない。
ケンタッキー・フライドチキンが食べたいという男の子のために雨の中をニワトリ抱えて帰ってきたおばあさんは、家に入るなり、居眠りしている男の子ために布団を敷き、かけてやる。濡れている自分を拭くこともなく。
男の子はおばあさんの愛に100%応えることはない。だんだん彼が良い子になってゆくこともなく、ちょっと良いことをしてはまた振り出しに戻るの繰り返し。あまりに彼の行為が目にあまるので改心の兆しにぐっとくるという仕組み。でも、たった2ヶ月の生活で彼が改心したらそれこそ嘘っぽいしできすぎだ。彼には“悪い子”のままでいてもらわなくては。
ほぼ90度に曲がった腰でゆっくり歩くおばあさん。ある出来事により彼の歩みがおばあさんと同じスピードになるというのはいい。ちょっとしたクライマックス。
自分が弱っているときや心細いときは必ずおばあさんを頼りにする彼は、ずるい。ずるいけど、おばあさんはいつも同じように淡々と、いる。おばあさんが彼に対して怒らないならそれを見つめるしかないのだ。
以下ネタバレ。
ラストの良いところは、バスが行ったところで終わるのではなく、バス停からおばあさんがゆっくりゆっくり歩いて家に帰り着くまでを見せてくれるところ。その距離! 速度!
おばあさんは決して彼が渡したハガキ(文字を書けないおばあさんのために、「(男の子に)会いたいよ」「身体が痛いよ」と住所なども書いてそのまま出せば男の子に届くようになっているハガキ)を出すことはないだろう。おばあさんはハガキを出す側かつ待つ側という立場で、逆に男の子の優位に立つのだ。
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