[コメント] 秘剣(1963/日)
『たそがれ清兵衛』が好きな人は見るべし。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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川本三郎氏の「映画を見ればわかること」を読んでなるほどと思ったのだが、時代劇には「斬りたいやつを斬る」ものと、「斬りたくないやつを斬る」もの二つに分かれ、実はこの「斬りたくないやつを斬る」型が多いのだという。この作品も『たそがれ清兵衛』と同じく「斬りたくないやつを斬る」作品である。
「斬りたいやつを斬る」型はどちらかというとTVドラマ向けで、「必殺仕事人」シリーズみたいなのに当てはまるのだろうか。1時間番組の中でそれなりのカタルシスを生むためには「斬りたいやつを斬る」演出がベストなのかもしれない。
自分は時代劇に関してはまだ見始めの初心者なのでどちらがどうという資格はないが、「斬りたくないやつを斬る」型の方が心に残るので好きだ。やはり映画作品として2時間もかけるのだから、怒りにかまけてただ闇雲にチャンバラするだけではつまらない。
この作品で気に入ったのは「斬りたくないやつを斬る」型として典膳と長十郎の苦悩が丁寧に描かれていたばかりでなく、命を賭けて編み出した秘剣「吹雪」を使わなかった典膳の怒りが自分の剣術の道を閉ざしてしまうというヒネリがあったところだ。あの潔いラストも素晴らしい。こういう作品を見るとつくづく日本人に生まれてきてよかったなあと思える。
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